土木施工管理技士とは
土木施工管理技士とは、「国土交通大臣は、施工技術の向上を図るため、建設業者の施工する建設工事に従事し又はしようとする者について、政令の定めるところにより、技術検定を行うことができる」(建築業法第二十七条一項)ことを根拠として交付される資格です。
対象となる工事は、道路やトンネル、鉄道、橋や橋脚、河川やダム、港湾、上下水道など、おもにインフラ設備となる広範囲にわたります。公共事業として定期的な保守作業も発生します。
土木施工管理技士は、土木の現場で専門工事業者や職人を管理し、施工管理の4大管理である「工程管理」「安全管理」「品質管理」「原価管理」の4つの観点から、工事がスムーズに進むよう職務を遂行します。
土木施工管理技士 は、管理できる現場の規模によって「1級土木施工管理技士」「2級土木施工管理技士」に分けられます。
1級土木施工管理技士とは
1級土木施工管理技士は、特殊建設業の各事業所に配置が義務づけられています。
資格の取得には、受検して合格する他に大学・専門学校の「高度専門士」として指定学科卒業後3年以上の実務経験が必要となります。受検者に必要となる実務経験については、試験管轄団体である一般財団法人 全国建設研修センターの試験詳細をご確認下さい。
学歴・資格、必要となる実務経験年数
受検には、一定の実務経験が必要です。指定学科の卒業の有無や保有する資格によって必要となる実務経験年数が異なります。受検者の「指定学科」については、試験管轄団体である一般財団法人 全国建設研修センターのこのページをご確認下さい。
1級土木施工管理技士は、一般財団法人建設業振興基金が所管する試験に合格することにより、資格を取得することができます。試験は年1回開催され、マークシートによる「学科試験」と記述・論文による「実地試験」により能力を問われます。
試験制度の大幅な変更に注目
令和3年度の法改正により、資格取得を目指す者にとって有利となる環境が整いました。個人にとってはスキルアップ・キャリアアップのチャンス、企業にとっては案件獲得のチャンスが増やせることになります。
令和6年度の改訂
令和6年度の改訂では、さらに受検資格の見直しがなされました。
受検資格の見直し
1級第一次検定は、実務経験に関係なく、受検年度において満19歳以上の人なら誰でも受検可能になりました。2級は引き続き試験実施年度において満17歳以上の人なら誰でも受検可能です(ただし、1級の第二次検定の受検には所定の実務経験が必要です)。
令和3年度の改訂
「技士補」制度の新設
1級土木施工管理技士の第1次検定に合格した受検者に対して、「技士補」(ぎしほ)という資格が新設されました。技士補を取得すると、「監理技術者補佐」として、複数の現場を監理する「特例監理技術者」(建設業法第二十六条4項)のサポートができるようになります。
※2級土木施工管理技士の第1次検定合格者に対しても技士補資格は与えられますが、実務上のメリットはありません。
工事現場では建設業法に基づき監理技術者または主任技術者を配置する必要があります(建設業法第二十六条1項・2項)が、特例監理技術者は専任の技士補資格者を配置することによって複数の現場を兼務することができるようになります。1級土木施工管理技士補資格者は、慢性的な人材不足に陥っている施工管理技士資格者を有効に活用するうえで心強いサポート役と言えます。
合格資格の無期限化
技士補制度の新設に伴い、これまで1年間限定だった第1次検定の合格結果が無期限有効となりました。日常の業務の都合で受検の機会を逃していた受検者にとって、1級土木施工管理技士の資格取得のチャンス、スキルアップのチャンスが大きく広がることになります。
2級土木施工管理技士とは
2級土木施工管理技士は、一般建設業の各事業所に配置が義務づけられています。
資格の取得には、受検して合格する他に大学・専門学校の「高度専門士」として指定学科卒業後1年以上の実務経験が必要となります。2級土木施工管理技士を取得してから実務経験を積んで1級土木施工管理技士とに挑戦する、というステップを踏む技術者が数多くいます。受検者に必要となる実務経験については、試験管轄団体である一般財団法人 全国建設研修センターの試験詳細をご確認下さい。
試験制度
2級土木施工管理技士は、一般財団法人 全国建設研修センターが所管する試験に合格することにより、資格を取得することができます。試験は前期・後期の年2回開催され、マークシートによる「学科試験」と記述・論文による「実地試験」により能力を問われます。
土木施工管理技士資格取得のメリット
監理技術者・主任技術者になることができる
土木施工管理技士を取得すると、土木における「主任技術者」または「監理技術者」になることができます。
主任技術者は、元請・下請いずれであるかにかかわらず、すべての工事で配置する義務があります(建設業法第二十六条1項)。また、「監理技術者」は、元請の特定建設業者が総額4,500万円以上(建築一式の場合7,000万円以上)の下請契約を行った場合に配置する義務が生じます(建設業法第二十六条1項)。
主任技術者は1級土木施工管理技士、2級土木施工管理技士どちらの有資格者でもなることができます。一方、より高額な案件で必要となる監理技術者は、1級土木施工管理技士の有資格者しかなることができません。
主任技術者、監理技術者はどちらも各現場に専任することが求められます。ただし、監理技術者に関しては、前述した「技士補」制度の活用により特例監理技術者になることで複数の現場を兼務できるようになりました。
各営業所に配置する専任技術者となれる
土木業には、国土交通省大臣または都道府県知事からの建設業許可が必要です(「軽微な工事」を除く)。建設業法では、建設業の許可を受けるにあたって、営業所ごとに常時勤務できて一定の資格や実務経験を持つ「専任技術者」を配置することが義務づけられています(建設業法第十五条)。
この専任技術者になることができる国家資格の1つが、土木施工管理技士なのです。
経営事項審査において企業の得点に加算される
「経営事項審査」とは、公共工事の入札に参加する建設業者の経営状況や経営規模などの客観事項を数値化した、建設業法に規定する審査をいいます(建設業法第二十七条の二十三)。「経営状況」の分析は登録経営状況分析機関、「経営規模等」の評価は国土交通大臣又は都道府県知事が行います。1級土木施工管理技士および1級土木施工管理技士補は経営事項審査における評価点が与えられるため、在籍する企業は「応札する能力がある企業」としての評価を得ることができます。
受検資格
受検資格は、以下の通りです。いずれの実務経験年数でも、1年以上の指導監督的実務経験を含むことが必要です。
1級第一次検定の受験資格
1級第一次検定は、試験実施年度において満19歳以上の人なら誰でも受検可能です。
区分 | 学歴または資格 | 実務経験年数 | ||
---|---|---|---|---|
指定学科 | 指定学科以外 | |||
イ | 大学卒業者、専門学校卒業者の「高度専門士」 | 卒業後3年以上 | 卒業後4年6月以上 | |
短期大学、高等専門学校、専門学校の「専門士」 | 卒業後5年以上 | 卒業後7年6月以上 | ||
高等学校、中等教育学校、専修学校の「専門課程」※1 | 卒業後10年以上 | 卒業後11年6月以上 | ||
その他の者 | 15年以上 | |||
ロ | 高等学校、中等教育学校、専修学校の「専門課程」※1 | 卒業後8年以上の実務経験(その実務経験に指導監督的実務経験を含み、かつ、5年以上の実務経験の後専任の監理技術者による指導を受けた実務経験2年以上を含む) | (なし) | |
ハ | 専任の主任技術者の実務経験が1年以上ある者 | 高等学校、中等教育学校、専修学校の「専門課程」※1 | 卒業後8年以上 | 卒業後9年6月以上 |
その他の者 | 13年以上 | |||
ニ | 2級合格者 |
1級土木施工管理技士の受検資格については、試験管轄団体である一般財団法人 全国建設研修センターの試験詳細もあわせてご確認下さい。また、指定学科については、こちらのページをご参照ください。
【備考】
※1 専門学校卒業者のうち、「高度専門士」又は「専門士」の称号を持たない者を指します。
1級第二次検定の受験資格
1級第二次検定を受験可能なのは、次の「イ」「ロ」「ハ」のいずれかに該当する者です。
イ:1級土木施工管理技術検定・第一次検定の合格者。ただし、第一次検定の「ニ」に該当する者として受検した者を除く
ロ:1級土木施工管理技術検定・第一次検定の「ニ」に該当する者として受検した合格者のうち、第一次検定の受験資格「イ」「ロ」「ハ」または下表の「ⅰ」「ⅱ」のいずれかに該当する者
ハ:第一次検定免除者
1級土木施工管理技士の受検資格については、試験管轄団体である一般財団法人 全国建設研修センターの試験詳細もあわせてご確認下さい。
区分 | 学歴又は資格 | 実務経験年数 | ||||
---|---|---|---|---|---|---|
指定学科 | 指定学科以外 | |||||
ⅰ | 2級合格後3年以上の者 | 合格後1年以上の指導監督的実務経験及び専任の監理技術者による指導を受けた実務経験2年以上を含む3年以上 | ||||
2級合格後5年以上の者 | 合格後5年以上 | |||||
2級合格後5年未満の者 | 高等学校、中等教育学校、専修学校の「専門課程」※1 | 卒業後9年以上 | 卒業後10年6月以上 | |||
その他の者 | 14年以上 | |||||
ⅱ | 専任の主任技術者の実務経験が1年以上ある者 | 2級合格者 | 合格後3年以上の者 | 合格後1年以上の専任の主任技術者実務経験を含む3年以上 | ||
合格後3年未満の者 | 短期大学、高等専門学校、専門学校の「専門士」 | 第一次検定「イ」の区分 | 卒業後7年以上 | |||
高等学校、中等教育学校、専修学校の「専門課程」※1 | 卒業後7年以上 | 卒業後8年6月以上 | ||||
その他の者 | 12年以上 |
【備考】
※1 専門学校卒業者のうち、「高度専門士」又は「専門士」の称号を持たない者を指します。
2級第一次検定、第二次検定の受験資格
2級第一次検定は、試験実施年度において満17歳以上の人なら誰でも受検可能です。
2級土木施工管理技術検定・第二次検定については、次の「イ」「ロ」のいずれかに該当する者が受験可能です。
イ:2級土木施工管理技術検定・第一次検定の合格者で、下表のいずれかに該当する者
ロ:第一次検定免除者
学歴 | 実務経験年数 | |
---|---|---|
指定学科 | 指定学科以外 | |
大学卒業者、専門学校卒業者の「高度専門士」 | 卒業後1年以上 | 卒業後1年6月以上 |
短期大学、高等専門学校、専門学校卒業者の「専門士」 | 卒業後2年以上 | 卒業後3年以上 |
高等学校、中等教育学校、専修学校の「専門課程」※1 | 卒業後3年以上 | 卒業後4年6月以上 |
その他の者 | 8年以上 |
2級土木施工管理技士の受検資格については、試験管轄団体である一般財団法人 全国建設研修センターの試験詳細もあわせてご確認下さい。また、指定学科については、こちらのページをご参照ください。
【備考】
※1 専門学校卒業者のうち、「高度専門士」又は「専門士」の称号を持たない者を指します。
試験日程
インターネット申込は再受検者の方のみ可能です。インターネット申込みの場合は、受検願書の購入は不要です。
1級土木施工管理技士(第一次検定)
試験地(13地区) :
札幌、釧路、青森、仙台、東京、新潟、名古屋、大阪、岡山、広島、高松、福岡、那覇(近郊都市も含む)
願書販売 | 郵送販売:2024年2月23日(金)~3月28日(木) 窓口販売:2024年2月26日(月)~4月5日(金) |
---|---|
受検申込 | 2024年3月22日(金)~4月5日(金) |
試験日 | 2024年7月7日(日) |
合格発表 | 2024年8月15日(木) |
1級土木施工管理技士(第二次検定)
試験地(13地区) :
札幌、釧路、青森、仙台、東京、新潟、名古屋、大阪、岡山、広島、高松、福岡、那覇(近郊都市も含む)
願書販売 | 郵送販売:2024年2月23日(金)~3月28日(木) 窓口販売:2024年2月26日(月)~4月5日(金) |
---|---|
受検申込 | 2024年3月22日(金)~4月5日(金) |
試験日 | 2024年10月6日(日) |
合格発表 | 2025年1月10日(金) |
2級土木施工管理技士(前期)
前期は第一次検定のみ(種別:土木)受検が可能です。
試験地(10地区) :
札幌、仙台、東京、新潟、名古屋、大阪、広島、高松、福岡、那覇(近郊都市も含む)
願書販売 | 郵送販売:2024年6月17日(月)~7月9日(火) 窓口販売:2024年6月17日(月)~7月17日(水) |
---|---|
受検申込 | 「第一次検定(前期)」(種別を土木のみとする) インターネット申込:2024年3月6日(水)~3月21日(木) |
試験日 | 2024年6月2日(日) |
合格発表 | 2024年7月2日(火) |
2級土木施工管理技士(後期)
後期は第一次検定+第二次検定(種別:土木、鋼構造物塗装、薬液注入)、第一次検定のみ(種別:土木、鋼構造物塗装、薬液注入)、第二次検定のみ(種別:土木、鋼構造物塗装、薬液注入)の受検が可能です。
試験地(19地区) :
札幌、釧路、青森、仙台、秋田、東京、新潟、富山、静岡、名古屋、大阪、松江、岡山、広島、高松、高知、福岡、鹿児島、那覇
※後期の第一次検定は熊本も試験会場に含む計20地区
※鋼構造物塗装、薬液注入は、札幌、東京、大阪、福岡の計4地区のみ
願書販売 | 郵送販売:2024年6月17日(月)~7月9日(火) 窓口販売:2024年6月17日(月)~7月17日(水) |
---|---|
受検申込 | 「第一次検定・第二次検定」(種別:土木、鋼構造物塗装、薬液注入) 「第一次検定(後期)」(種別:土木、鋼構造物塗装、薬液注入) 「第二次検定」(種別:土木、鋼構造物塗装、薬液注入) 2024年7月3日(水)~7月17日(水) |
試験日 | 2024年10月27日(日) |
合格発表 | 【第一次】2024年12月4日(水) 【第二次】2025年2月5日(水) |
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