施工管理技士

施工管理の「4大管理」「5大管理」とは?

最終更新日:2023年6月20日

施工管理技士とは、工事の工程や品質を管理し、「施工管理の4大管理」と呼ばれる4つの観点から安全に工事が完了できるよう監督する役割を持つ技術系の国家資格保有者です。

では、その4つの観点とは何でしょうか。今回は「4大管理」について説明します。

施工管理における「4大管理」とは?

「施工管理の4大管理」とは、「工程管理」「安全管理」「品質管理」「原価管理」の4要素の管理監督を行うことです。それぞれ説明しましょう。

工程管理

工程管理とは、工事を工期内に完了・完成させるためにスケジュールを管理する業務です。

ビルの建設や道路の補修、上水道間の新設や電線の配線など、工事の種類や規模に関わらず、工事にはさまざまな専門会社や職人が関わります。そのため、各工程を適切なタイミングに配置しつつ、工事の進み具合、進捗(しんちょく)を管理監督しなければなりません。

何らかの事情でスケジュールが遅れる場合は、それ以降の工程に関わる専門会社や職人、元請会社などとの再調整も必要です。屋外の現場であれば、悪天候による遅延もリスクとして考慮しておき、必要に応じて工程表を作成し直すなどの対応が必要になるでしょう。

安全管理

安全管理とは、工事中の事故を未然に防ぐための施策を管理監督する、万が一事故が発生した場合は速やかに対処できる環境を準備することです。

工事には危険がつきものです。どんな工事現場にも、落下や倒壊、火災や感電による事故やケガが発生するリスクがあります。そこまで至らなくても、ちょっとした伝達ミスや気のゆるみで発生する「ヒヤリハット」も未然に防がなければなりません。「職人が安全装備を身につけかつ使用しているか」「防護壁や安全柵、養生ネットなど安全対策用品は適切に取り付けられているか」「工事現場の側を往来する人や車を整理する監視員は、適切な場所に配置されているか」「工事中を知らせる看板は、必要な場所に掲出されているか」といった事故やケガを防ぐための施策を管理監督します。使用する機械や工具の定期的な点検も含まれます。

同時に、万が一事故が発生した時に備え、初期対応の担当者を決定したり関係各所への連絡体制を整備したりします。ヒヤリハットや軽微な事故については、工事現場内の掲示板への申し送り事項の掲出や朝礼・夕礼などで注意喚起を行うことも必要です。

品質管理

品質管理とは、施主や元請会社の要望通りに工事が完了・完成するよう設計書や仕様書、作業指示書を確認しながら工事のクオリティを管理することです。

「使用する材料は仕様書に記載された通りのものか」「寸法や強度は適切か」「設置や取り付けは正しく行われているか」などを確認します。作業時に品質を担保するための試験を実施する他、施工前後を写真撮影して状況を途中経過として施主や元請会社に報告することも含まれます。

また、完了・完成直後に不具合があった場合には速やかに回復・修理・交換ができるようにすることも品質管理の一つといえます。いくら仕様通りに施工したとしても、例えばその場では分からない不良品が含まれているなどがあり得るからです。

原価管理

原価管理とは、決められた予算の範囲内で工事が完了・完成するよう、原価や経費などを管理する仕事です。

工事予算は、施主や元請への提案段階で提案し、調整の上で決定されます。この予算を超えてしまうと、利益が確保できなくなり赤字になってしまいます。そのため、事前に相見積を取るなどして材料費、人件費などを入念に圧縮して目標利益額を設定した実行予算書を作成し、計画通りに消化できるよう努める必要があります。

それと同時に、工事期間中に発生する施主や元請会社の追加指示・仕様変更のリスクも加味しておく必要があります。過度な追加指示・仕様変更はスケジュールの遅延を招くだけでなく、予算を超えてしまう、利益が減ってしまう可能性が高まるからです。

施工管理における「5大管理」とは?

施工管理の業務内容はここまで説明した4つの観点、「4大管理」が一般的ですが、観点をもう1つ追加して「5大管理」と説明することもあります。5大管理は「QCDSE」という略称で表されます。「Q」は品質(Quality)、「C」は原価(Cost)、「D」は工程(Delivery)、Sは安全(Safety)、Eは環境(Environment)のそれぞれの頭文字です。

環境管理

追加観点である環境管理は、空気や水、土壌など現場周辺の環境を汚染しないよう対策する「自然環境」、騒音や振動、粉じん、悪臭など工事によって起きがちな環境被害を抑制する「周辺環境」、業務中・休憩中を通して管理者を含めた作業員、職人が安全で働きやすい環境を整える「職場環境」の3つに分けられます。そのうち自然環境、周辺環境については、事前に入念に予測・調査し、現場周辺で生活している人たちに甚大な影響が出ないように努めましょう。いい加減な対策を講じると、施主や元請会社に迷惑が掛かってしまいます。また、職場環境については人間関係、コミュニケーションの問題になります。風通しがよく話しやすい関係を構築しましょう。

まとめ

「4大管理」「5大管理」とも、施工管理技士が管理監督しなければならない観点を分かりやすく説明しています。これらを意識することにより、よい工事を施工できるようになります。

昨今では安全管理、環境管理への対応がより優先されるようになって、工事に関する考え方も変わりつつあります。それらを意識しながら施工管理を行いましょう。